オーケストラ・室内楽の制作(DTM)あれこれ

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【オケDTM】2021のBFセールで買ったもの・見送ったもの

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コロナによる収入減で余分な出費を控えたいという思いと、自粛のうさ晴らしをしたいという思い切り相反する気持ちを抱えたまま、今年もセールの季節がやってきました。皆さんは何を購入されたでしょうか?私はこんな感じです。

買ったもの

Fabfilter Pro-Q3

オケDTMでは積極的なイコライジングをしないので、欲しいと思いながらもずっとスルーし続けてきましたが、今回ようやく購入です(25%OFF)。

プロ向けというイメージですが(名前がProそのものだし……)、実は私を含めてEQに不慣れな人ほど手に入れておいた方が勉強になりそうです。とにかく操作が簡単なんです。アナライザーで飛び出たピークのところをドラッグするだけ、というやり方ができます。EQのかかり具合をパーセントで指定できるのもいい感じです。

他にはEQのマッチング機能も便利です。2つの音源を比較して、周波数の分布を似た感じに調整できるもので、CubaseのCurve EQなどでも利用可能ですが、帯域を調べた後の調整はこちらの方が楽だと思います。オケ用途では、異なるライブラリで楽器の質感を揃えたり、弦楽器のソルディーノを再現したりするのに役立ちます。

LA Scoring Strings 3

ストリングスの定番音源が新しいUIで登場しました。実はアップデートではなく新規購入です($400、バージョン3よりソルディーノやソロも同梱)。

1つのパッチであれもこれもできる便利さが売りです。例えばディヴィジ(分奏)のためにわざわざ別トラックを用意しなくても、うまく複声部をさばいてくれるのには驚きです(その代わり40msの遅延が生じますが、DAW側で補正すればOK)。

また、Look ahead(先読み)という機能があり、プレイバック時に400msと大幅な遅延が生じる代わりに、レガート等のタイミングを補正してくれます。これは一見便利そうなのですが、スタッカートとレガートが入り混じるような音型ではうまく機能しないため注意が必要です。

オケ音源では気になるレガートの遅延について、前バージョンまではほとんど遅れなかったようですが、今回のバージョン3はかなり遅れます。上のLook ahead機能を使うか、ノートオンのタイミングを手動補正する必要があります(それさえ調整してやれば、かなり速いランでもキビキビと反応します)。レガートの速さはUIで変更可能ですので、つまみを最大にすれば前のバージョンと同じく遅延のないレガートにでき、ジャストタイミングで鳴らすことができます。ただし、それだけでは音がシンセ的になってしまうので、合わせてレガートのオフセットを調節してやるといい感じになります。

他に、ステージポジショニングや有名なフィルムスコアの音を再現する色づけなど、サウンドメイキング関連の機能も充実しているのですが、元々がかなり乾いていてざらつきのある音のため、ホールの鳴りを再現しようとすると苦労します。

オーケストラ用途では、マルチマイク録音されたModern Scoring Stringsを素直に買った方がいいのかも。室内楽的なサウンド、あるいはポップスでの用途では威力を発揮しそうです。

見送ったもの

Berlin Orchestra (SINE)

Orchestral Tools社フラッグシップの音源です。KONTAKTから自社エンジン(SINE Player)への移行が完了したので記念として半額になりました。私は木管だけ持っていたので、セールの告知があった当初は「全セット揃えるぞ!」と興奮していましたが、ここの製品は特殊奏法が別売りになっていて(弦のフラジオやコルレーニョ、金管のソルディーノetc)それを見越すとお金がかかりそうだということで断念しました。前はパーカッションのうち、なんと一番重要なティンパニが別売りだったのですが、SINE版では同梱になりました。

なお既存ユーザーは無償で新プレイヤーを使うことができます。VSLなら1製品で100ユーロぐらいアップグレード料金を取ってきそうなので(※)、かなり気前がいいです

※ただ、VSLのSynchron Playerは、かなり細かいカスタマイズができる(ハードのPCM音源、例えばRolandのJVなんかを思い起こす感じです)のに対し、SINE Playerはざっくりとした調整しかできません。

そうは言っても、SINE Playerで音源をマイク別にダウンロードできるのは便利だし、プロジェクトファイルのサイズもKONTAKT版に比べてだいぶ軽くなるのがうれしいです(BerlinシリーズのKONTAKT版は、他社のオケ音源の3倍ほどパッチのファイルサイズがある感じです)。安定性も特に問題はありませんでした。

海外フォーラムでは、特に金管でレガートの音が悪くなったとの声があります。木管楽器の場合、確かにオーボエはほんの少しだけつながりが悪くなったような気もします(言われなければほとんど気付かないレベル)が、フルートはむしろ良くなっています。レガートの処理が根本的に違うようなので、KONTAKT版とはどうしても異なった音になるようです。

なおBerlinシリーズは木管楽器の評価が高いのですが、強い音のダイナミクスがもっと欲しいところで(一番強い音でも、メゾフォルテぐらいの勢いに聞こえることが多い)、Cinematic StudioやVSLのSynchron(これは今出たばっかり)から木管の強力なライバル製品が現れた以上、その地位も危うし!という感じになりつつあります。

LiquidSonics Seventh Heaven

リバーブの話題になると、必ずLiquidSonicsの製品をオススメする人が出てくるので、ずっと気になっていました。一番入手しやすそうなこのリバーブの体験版をインストールしてみたところ、原音のフワッと柔らかく包み込まれる感覚がなかなか気に入って、購入寸前というところまで行ったんです。

ここでネットで追加情報を調べてみたら、とある人の「ネタ元のBricasti M7のIRファイルを使えば似たような音になるよ」という話を目撃!そこで思い出したのが、去年Best ServiceのBFセールで買い物したときにオマケとしてもらった「Halls of Fame」です(※)。この中の「BRIC M17」という製品が例のM7をサンプリングしたIRリバーブになるのですが、これを使ってみたら確かにそっくりなサウンドとなり、Seventh Heavenの購入は見送りとなりました。

※Best Serviceはブラックフライデーの時期、一定額以上(99ユーロだったかな?)の購入に対してオマケをつけてくれます。まあオマケですから、あまりありがたみのない製品が大半ですが……

LiquidSonicsのリバーブは、Fusion-IRという独自技術を使っているということで(ERとテイルを別々にサンプリングして、同時処理しているらしい?)、ただのIRリバーブであるHalls of Fameに比べると、なんとなく音全体のなじみがよい気もします。ただ、ブラインドテストをしたら分からなくなるレベルかも……

なお、Halls of Fameは設定項目が少なく、リリースの調整でテイルの長さの調整は一応できますが、それ以外はほぼ「プリセットをそのまま鳴らす」ような使い方になると思います。私の場合、初期反射用のホール録りのリバーブと併用する使い方が多いのでその程度で十分OKなのですが、メインのリバーブとしては機能的に物足りないものだと思います。

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