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クラシック 音楽理論

ジャズピアノの「ドロップ2」とドビュッシーとの共通点を探す

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ジャズの歴史について書かれた文章を読む際、よく「ビル・エヴァンスはドビュッシーを研究し……」というような記述を見つけることがありますが、実際にジャズとドビュッシーにどういうつながりがあるか言及されたものをほとんど見たことがありません。そこで、今回は和音の組み立て方、つまりボイシングの観点から「これ、似ている!」というのを見つけてみたいと思います。

ブログの性質上、用語がクラオケ系の書き方になってしまい、ジャズ畑の方はモヤモヤしてしまうかもしれませんが、なるべくそちらも併記してがんばってみたいと思います。

ジャズの代表的なボイシング

4ウェイクロースとブロックコード

ジャズで4声部を密に重ねるとき、「4ウェイクロース」という手法でメロディーに肉付けします。試しに「春が来た」のメロディーでやってみるとこうなります。

春が来た - 4ウェイクロース

理論書を見るとかなり多くのことが書いてありますが、それらしく鳴らすポイント2点は以下のとおり。

  • 長和音では付加6音(ドミソ+ラ)を使う
  • メロディーが経過音など非和声音(アプローチノート)になるところは減七和音(ディミニッシュコード)を使う

ピアノの場合は、メロディーの1オクターブ下を左手で重複させることが多く、「ブロックコード」と呼びます。

ドロップ2

ビル・エヴァンス的な、もう少し透き通った雰囲気が欲しければ、上から2番目の音をオクターブ下げてみましょう。より音域が広がり、すっきりしたボイシングになります。これが「ドロップ2」ですが、先ほどの譜面も同じようにやってみます。

春が来た - ドロップ2

これはただ音を移動しただけの例ですが、プレイヤー次第でもうちょっとボイシングが変わってくると思います。今回は2番目の和音のラをシに変えて、「ドソシミ」と七の和音にすれば洗練された感じになるでしょうか。

最高音と最低音が10度の開きになりやすく、これがクリアーな響きにつながっていると思います。

ドビュッシーと「ドロップ2」

ドビュッシーのピアノ曲を聴いていると、この「ドロップ2」と似た響きに聞こえる部分がいくつか見つかります。例えば、「ピアノのために」よりサラバンドの冒頭です。

サラバンド譜面

音域が広めですが、下の4音の動きに注目すると、まさに「ドロップ2」的なモーションになっています。この曲は、本ブログで「平行和音」を扱ったときもご紹介させていただきました。

次に、前奏曲第1巻より有名な「亜麻色の髪の乙女」でも特に美しいこの部分。低音4度※による澄んだ響きにも注目です。

※和音の第2転回形は、バスと上声の間に完全4度の音程ができることが多く、これを「低音4度」と呼びます。どこか満たされない印象のある和音で、古典和声では取り扱いに色々な制限があるところ、ドビュッシーはこの不安定な響きを巧みに用いて、透明感あふれるハーモニーを生み出しています。

亜麻色の髪の乙女譜面

他にも例があったような気がするのですが、いざ探してみるとなかなか見当たらないもので、新しく発見したらまた更新させていただきます。偉そうな書き出しの割に、あまり内容が充実しなかったような……すみません。

【おまけ】 オスカー・ピーターソンっぽい?アルペジオ

ドビュッシーのエチュード11番目「組み合わされたアルペジオのための練習曲」で、こんなフレーズを見つけました。

エチュード譜面

曲全体はなんともドビュッシーらしく幻想的な雰囲気です。でもこの部分だけ妙に可愛らしく、オスカー・ピーターソンの音の運びに似たイメージを持ちましたので、これを紹介して締めとさせていただきます。楽譜★のFis音がチャームポイントだと思います。

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